【経理】経費精算業務について

こんにちは、まなび塾のあやのはるかです。経理業務には、お金の出入りを記録集計したり、支払いや入金を管理するという仕事があります。今日のテーマは、「経費精算」です。

経費精算とは、「従業員が立て替えた経費や交通費の精算処理」のことです。会社の経費となる物品を購入したり、取引先を訪問した時の交通費を立て替えて支払った従業員は、申請書類に領収書を添付して会社へ請求します。

この業務は、派遣社員や入社年数の短い社員が担当となることが多いように感じます。それはなぜでしょうか。

   

   

新人社員が担当することが多い理由は?

その理由は、会社規模によっては処理量が多くて意外と面倒、経理経験が浅くてもできる、専門的知識はあまり必要ではないと考えられているからなのかもしれません。

精算書類は、経理に慣れている立場から見ると、不備が多いものです。

ルールを守らない申請(上長が確認していない等)、必要な事項が抜けている、金額や日付を間違えている、領収書の添付がないなど。数か月分の交通費精算をまとめて持ってきたり、仕事上関係ないと疑いたくなる出費に対して申請してくる人もいます(困ったものです・・・)

申請書類に不備があると、経理担当者は支払いの処理ができないので、本人に確認をとる必要があります。同じフロアに本人がいればすぐに確認・修正依頼ができますが、離席中だったり外出中だったりすることもある。メールでお知らせしても、返事がなかったりして、確認作業が進まないことはよくあります。

確認が必要になったとき、申請者との意思疎通がスムーズにいかないことが多く時間を取られるため、比較的時間に余裕がある新人さんに任される。そして、確認作業のために他部署の人とかかわる機会が増えてコミュニケーションの練習になるということを考えると、新人社員さんに適した仕事なのかもしれませんね。

  

会社でルールが決められている

経費精算の申請書類は、申請者 → 所属している部署の上長の確認(承認) → 経理の担当者へ提出という流れが一般的です。経理では、申請内容を確認して正当な経費かどうかを確認して本人へ支払います。

最近では、申請~承認~経理の承認~支払処理~会計処理 の一連の流れをクラウドで行うことができるシステムを導入しているケースも増えています。この場合、領収書もスマホで撮影してアップロードできて便利です。

クラウドのサービスが増えてきたとはいえ、現時点では紙があるのかペーパレスなのかが違っても、処理することと流れは変わりません。

立替や申請については会社で「経理規定」の一項目として決められています。規定はコロコロと変えるものではありませんが、運用していくうちに状況に合わないことや不都合が出ることもあるので一定期間ごとに見直しは必要でしょう。

   

申請書類について

会社では申請書について「既定の書式」を用意しており、交通費、出張旅費、その他の経費で精算書を分けていることが多いです。申請書類記入の注意事項の例として挙げてみました。

  • 必須事項は必ず埋める
  • 申請期日(締め日))があり、遅れたら次回の処理となる
  • 経費の使用目的と具体的内容を書く(特に、飲食や手土産の購入、交通費、出張旅費)
  • 消費税率が違うものは、分けて書く
  • 領収書の添付方法(裏に貼る、表に貼る、別紙に貼る、クリップで止めるなど)

書式のサンプルを作ってみました。新たに作るときなどに参考にしてください。

  

精算頻度と支払方法

精算頻度については処理の効率化のため、ルールが決めていることが多いです(週一回、隔週、月一回など) 精算処理が少ない会社では決まった精算日を設定するのではなく、書類が提出されれば都度払うという対応をしている場合があります。

支払方法については、現金手渡し、または本人口座へ振り込みをします。口座振り込みの場合、給料と一緒に振り込む場合がありますが、処理に注意が必要なため規定を明確にしておく必要があります。担当者としては、給料とは別に振り込む方いいと感じます。

本人の口座へ振り込む場合、振込手数料は会社が負担します。手数料の節約のため、立替額が一定金額以下の場合は現金払いにするというようなルールを決めている会社もあります。

事前の申請について

支払については従業員が立替えるとしても、購入前に事前に申請が必要な場合があります。

たとえば、

  • 一定の金額を超えたものを購入する場合
  • 接待交際費や、出張をする場合
  • 出張旅費など個人の負担が多いものは「出張申請」と「仮払金の申請」ができる
  • 高額備品は、立替ではなく請求書払いで購入できないか(購入先に請求書を発行してもらい、事前または事後に会社の銀行口座から振込)

出張費に限らず、請求書払いができない場合など「仮払金」という形で現金を渡し、その日のうちに領収書を添えて精算というルール決めをしている場合があります。

事務用品や取引先訪問の交通費などは、事前申請は不要で精算申請書類にレシートやsuicaの履歴を添付すればOKなことが多いかと思います。

添付書類について

経費精算の申請書類に添付するのは、「領収書」です。領収書は手書きやレシートでも大丈夫です。レシートには、品名・日付・金額・消費税・発行者など必要な情報がすべて記載されているので信憑性が高いといえます。

移動に使う公共交通機関の利用料(電車珍・バス代)は、suicaなどの電子マネーの履歴を添付を求める場合もありますが、区間や交通機関名がきちんと申請書類へ記載してあれば、路線検索で確認ができるので添付書類がいらないケースが多い気がします。

タクシー代については、会社ごとに利用ルールを決めていて領収書添付は必須です。本当にやむを得ない場合を除き、利用を禁止している会社もあります。

申請者が領収書をなくしてしまって添付できない場合はどうすればいいのでしょうか。再発行の依頼をして入手できればいいのですが、出来ない場合は、経理で処理ができない場合があります。

代替法として、出金伝票を発行して領収書代わりにすることもあります。この場合、日付、内容(事業用に購入した○○)、購入した店舗、所在地、金額など具体的に書く、支出をした証拠となるものがあればそれも一緒に添付することが望ましいです。

どのように対応したらよいのかは、自己判断はしないことが大切。先輩や顧問の税理士さん・会計士さんに相談をしましょう。

  

書類チェックのポイント

チェック作業を始める前に、社内のルールについてまず確認すること。流れはどこへ行っても似たり寄ったりですが、細かいルールは会社によって千差万別です。

精算業務についてのシステムが導入されている場合はその仕組み・使い方を覚えることがスタートとなります。

会社に税務調査が入ったときに、厳しくチェックされるのは「交通費」「会議費」「交際費」について、正しく処理がなされているかということです。個人の旅行を出張旅費にしていないか、接待目的の移動や宿泊を業務扱いにしていないかなどです。

通常、「タクシー代」は交通費ですが、接待のための移動に使ったタクシー代は交際費になるので注意が必要です。出張時の宿泊費も、接待を伴う場合は出張旅費とならない場合があるので、申請内容をよく確認する必要があります。

会社に規定がないと迷うポイントの一つに、個人のカードでの支払時に付与されるポイントや、電子マネー利用時に付与されるポイントについての扱いです。会社のものを立替購入する場合は、ポイントが付かない方法を選択するのが望ましいので、ポイントについては会社でルールを設ける必要があります。

  • 自社の精算ルールを確認する。(会社によって違うので)
  • ルールに沿っていない申請は、本人に戻す。
  • 金額に間違いがあったときは申請者に修正を依頼する(勝手に修正しない)
  • 適切な勘定科目で処理できるよう支出内容をよく確認する。
  • 予算内かどうか?ということも確認してみる。

金額以外にも、多くのことに気を配りながらチェックすることになるので、慣れないうちは一つ一つ丁寧に確認しながら進めましょう。

    

まとめ 

新人さんが担当することが多い経費精算業務。精算書類を確認する経験を積むことで、会社のルールについても覚えることができる、証憑の見方に慣れる、勘定科目を意識できるというメリットもあります。

書類に不備があるとなぜ経理側で精算処理ができないのかということが、経理部以外の人にはあまりピンとこないようです。

交際費など税務上一定の記載がないと経費とならないことは知らない人がほとんどです。なので、お店の名前と金額しか書いてなかったりします。切手と収入印紙はどっちも郵便局で売っているのだから「通信費でしょ」と言われることもあります。

経理の人が細かいのではなく法律上必要だから細かく確認をせざるを得ないことを伝えるため、申請書類不備のための確認作業を減らすために、社内でルールを作りマニュアルを整備して置くことが大切です。

マニュアルは、申請する側用と処理をする側用の2つあればいいですね。

  • 申請側用は、多くの人が迷ったり間違いやすいことをリストアップして内容をまとめる
  • 申請書類の「記入サンプル」を費目ごとに用意しておく
  • 処理をする側用は、チェックをするポイントや、何の勘定科目で処理するのかを書いておく

社員数が少ない場合は規定がない会社も多いです。社員が少ないうちからしっかりルールを決めておく方が望ましいと私は思います。たとえ数百円の経費でも「会社のお金」であることを、経理部にいる人は忘れないことが大切ですね。

余談ですが、経費精算ができるアプリ・サービスも多くなりました。ユーザー1人につき月額200~300円毎月課金されるというタイプが多いので、毎月の精算人数と事務処理の手間を考えて、費用をかける価値があると思えば導入について上長の理解を得ましょう。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

まなび塾 あやのはるか