事務職(オフィスワーカー)としてのスキルアップを考える


事務業務(オフィスワーク)といっても、様々な業務があることは、ご存じでしょうか。

求人情報を見ていると、「経理事務」「一般事務」「総務事務」「企画事務」「営業事務」などに分類されています。固定的な役割ではなく幅広く社内の問題に対応したり事務的な作業をするということで「「部署アシスタント」という表現をしていることもあるようですね。

事務業務はパソコンを使っての単純作業のイメージがありますが、設計のアシスタント、webサイトの更新や簡単なバナー作成、広告を出稿するなど、やや専門的な知識やシステムツールを使ってデスクワークをすること、社内で営業社員のフォローとしてお客様と直接コンタクトをとる仕事もオフィスワークです。

経理と事務のまなび塾では、オフィスワークを事務業務ととらえ、経理(お金に関する処理)と一般事務(文書作成やデータ整理)に携わる初心者の方に向けて、基本的な事をまなぶことができる場を目指しています。

事務職は、直接会社のサービスを提供してお客様と接するわけではありません。仕事を頑張れば売上になるわけでもない。とはいえ、現場で頑張っている人が働きやすくするために、間接的にお客様の役に立てるよう事務処理の面から会社内を整えることで利益に貢献ができます。

ただ入力作業や伝票の整理、雑用だけをしていればいいわけではなく、情報を整理・分析したり、すぐに取り出せるようにしておく。社会や時代の流れを感じて、積極的に提案したり、無駄を省き効率化することは常に意識したいものですね。

「売り上げをあげない管理部(事務)は、価値が無い」という言われ方をしますが、形や方法は変化しても事務という仕事は少なからず発生します。「人間」にしかできない部分も減っていくにしても、まったく無になるわけではないと思います。

形としては見えにくくても、縁の下の力持ちとして誰かが事務処理をしてくれるおかげで会社は回っています。

「この会社で、自分の役割は事務です。事務を極め会社に貢献する」

ぜひ、誇りをもって日々、自分自身の価値を高めることを意識して、「小さな学び」をコツコツ積み上げていきましょう。

オフィスワーカー初心者 8つの心がけ


ここで、長年会社で働いてきた経験から、いいなと思う考えや意識についてご紹介します。意識が良い習慣を生み、スキル向上に役立つと私は考えています。

意識や習慣というとなんだか堅苦しいので「8つの心がけ」ということにしましょうね。次にあげる8つのことは、パソコン操作やソフトの知識を学ぶことと同じくらい大切に考えています。

ここでお伝えしている事は一例です。もし、どんな意識をもって仕事と向き合えばいいのかわからない場合は是非参考にしていただければと思います。また、経験を積むことで新しい考えが生まれたらそれも大切にしてくださいね。組織のカラーによって必要なこと優先事項や細かいルールは違いますから、自分が一番居心地よく力を発揮できるようにアレンジしてみてください。

【1】時間は有限。人の時間を奪わない。

「今、ちょっといいですか?」 わからない事や確認したい事、相談したいことがある時は用件を話す前に一言お伺いを立てることはきっとあなたもやっている事でしょう。役職が高い人ほど、時間単価は高いです。なので、できれば、「○分お時間を頂きたいのですが、いつ頃がよろしいでしょうか」と、事前に相手のスケジュールを確保したうえで確認や相談できるようにすればいいですね。直接聞けない場合は、メールやチャットにメッセージを送っておきましょう。その時、件名を見ただけでメッセージの内容がわかるようにすることもちょっとした気配りです。

一分一秒を争う緊急事態は例外ですよ。手遅れにならないように少しでも早く報告や説明をして指示を仰ぎましょう。

予定外の打ち合せや相談事は、相手にとっては割り込み仕事。割り込み仕事は相手の時間を奪います。相談事や報告、確認事項は、相手のスケジュールを確保してもらってから。そして、いただいた時間内にあなたの問題が解決できるように事前準備をしておきましょう。用件は何か(相談なのか報告なのか)、用件の概要、何に困っているのかどうなりたいのか。メモにまとめて要領よく伝えられるようにしておくこと。まとめている過程で、問題の大部分が解決することもあるかもしれません。

「小さな困りごと」 どんな問題を誰に聞けば早く解決できるのだろう。普段から先輩方の得意なことや人脈についてアンテナを立てておくこともよいでしょう。

【2】慣れた仕事こそ丁寧に。時々基本の振り返りをする。

新しい職場や部署で、業務につくとき。何もかもが初めてのことなので、しっかりメモをしてその手順に沿って丁寧に仕事を進めていくかと思います。

1か月2か月が過ぎ、すっかり体で仕事を覚えてサクサクできるようになった頃。不思議となれた頃のほうが初心者の頃よりミスをしてしまうことがあります。細かいことに上手に手抜きができるようになって要領よく仕事を進めていくうちに、当たり前のことを忘れてしまうことがあるからですね。

初めての頃に、「マイマニュアル」をまとめていた時のことを一度振り返ってみましょう。本当に必要がなくてスキップしている手続き(手順)の中に、それをスキップしてしまうことでとんでもないミスが発生する可能性があるかもしれません。

もし、そんなことはなくても、あなたが誰かに今の業務を引き継ぐときは、お節介かと思えるくらい、細かいことも伝えましょう。そうしないと、いずれ大きなミスの芽に育ってしまうかもしれません。「知らない」ことと「知っていて、理解したうえでやらない」ことは違います。過去に知っていたことが知らないことにすり替わってしまわないように、「基本はどうだったっけかな?」と、時々振り返りましょうね。

本当に不要なことはやらなくてもいい。けれど、誰もが基本と思える手順や工程を見えるようにしておくことは大切です。初心者の時の丁寧さ、忘れないように。「こうしたほうがいい」と、基本の手順を見直してより良い方法へアップデートしていくことはよいことだと思います。

【3】当たり前を疑う。常に「より良く」を考える。

新しい仕事を覚えるには、先輩から仕事の引継ぎを受けます。なんだかよくわからないなりにも説明を聞いていた時「あれ?」と疑問に思うことあるかと思います。その「あれ?」という小さな疑問を持つことができた自分の感性・初心者ならではの視点は大切にしましょう。

【4】整理整頓を心がけ。片付けの時間をスケジュールに組み込む。

「忙しい時ほど、整理整頓」 これは、普段の業務の中で一番大切なことかもしれません。というのは、データや書類が整理整頓されていないと、「死角」が生まれるからです。ここでいう死角とは、実際に目に見えないことだけでなく、意識から抜け落ちてしまうことも含みます。

見えている、意識できていることは忘れません。けれど、「見えていない」と忘れてしまいます。

期限の迫っているもの、毎日からならずしなくてはいけないこと、1週間後、1か月後、〇〇後・・というように処理期限が早く来るものを手前に並べてしまっておくというルールを決め、それを守るようにします。

本当に忙しくて、トイレへ行く暇もないことが続けばほんの数秒でも意識を切り替えることが難しい場合もあります。そのようなときは、かたづける

【5】朝一番にする事はメールチェックではない

儀式(ルーティン)を持つことの大切さ

気持ちの切り替え、スムーズに集中状態に入るために、少し余裕をもって着席できるように心がけましょう。とはいえ首都圏ではよく電車が遅延するため、早めに家を出たつもりでも、会社につくのはぎりぎりになってしまうことも少なくありません。他の人はデスクについて、すでにピリピリとした状態で仕事を始めていれば、焦ってしまいますよね。

朝、スムーズに仕事モードに切り替えるためには、前日の仕事の終え方と、自分なりのルーティンを持つことが大切です。

例えば私の場合、終業時刻の20分前になったら、定時の5分前までに終わらなさそうな仕事は切り上げると決めています。書類を片付けながら明日やろうと思っていることを頭の中でまとめて、優先順位を付けて「明日の予定メモ」を作り、「本日」フォルダ(バインダ)にそのメモと、業務に使うファイルを入れて所定の場所へ置きます。これは夕方のルーティンです。残業になりそうな日も、いったん片付けることにしています。そうすることで頭の中の整理がつくからです。

翌朝は、出社後パソコンのスイッチを入れたら、「本日」フォルダ(バインダ)を取り出しデスクの上に置き、筆記用具のトレー・電卓・メモを所定の位置にセットして、モーニングコーヒーを淹れてデスクへ着席。「本日」フォルダ(バインダ)の「予定メモ」に目を通して優先順位を改めて決めた後に、メールをチェックします。これが、朝のルーティンです。

パソコンにスイッチを入れて、まずメールチェックということはしません。なぜか、メールで届いた依頼事項などを優先的に処理してしまう癖が自分自身にあるからです。

退社前の10分間を有効活用

残り時間が5分や10分あるときは、細切れでできる仕事リストから小さい仕事を選んで行います。

たとえば、書類をシュレッダーにかける、今日届いた不要なメールを1通でも多く削除したり振り分けをする、デスクトップのいらないショートカットのアイコンを消す・ファイルを本来の位置へ保存しなおす、ごみ箱の中身を確認して絶対いらないファイルは完全削除する、事務用品を補充する、キーボードにたまったほこりを出すなどプチお掃除、一言の返事で済むメールの返信・・など。

数秒、数分でできることも放置して積み重なってしまうと、改めてやろうと思った時には結構な量になり時間を消費してしまうもの。量が多いと取り組もうにも億劫な気持ちになってしまいますよね。

5分でもこまめに小さな仕事を片付けていくと、小さな達成感を感じることができるし気がかりも減ります。

翌朝は、まずデスクについてカバンを置いたら、朝のルーティン。メールチェックを始める前の一連の動作で、気持ちが切り替わるのです。

困ったことに、出社してすぐ着席しようとしたら「ちょっと、これ急ぎで」などといわれることもあるのですが、本当に一分一秒を争うものでない限り「すみません、9時から対応します」というようにしています。

【6】心と体はつながっている事を知る

昔から、病は気からという言葉があるように、心が元気でないと体調までわるくなってしまうことがあります。逆に、自分が病気だと分かったとたん、心も病んでしまうことがありませんか。本当に体調が悪い時は、無理して気合を入れなくてもいいけれど、体が健康であるからこそ、生き生きと意欲的に仕事はできるというのは、誰もが経験済みのことではないでしょうか。

忙しくても、せめて5分でいいので自分自身の体と心をねぎらってあげる時間を持ってみませんか。

【7】雑談は、今後の仕事に活かす目的だと心得る

【8】小さい事や見えない事に気を配る

他にも大切な事はたくさんあるかと思います。あなた自身すでに心がけていることもあるでしょうし、もっと素敵な意識をあればそれを大切にしてくださいね。